化哲感想

アファンタジア(映像を想像できない) 2013入社(メーカー技術)

時間の使い方は仕事中より休日のほうが難しい 刻一刻と失われゆく「勢い」を大事にせよ

 休日の時間の使い方って難しいです。いつも、やりたかったはずのことができなかった感覚に襲われます。休日だけでなく、平日の仕事前・仕事後の時間もそうです。

 これまでは仕事のように、やろうと思ったことを予想所要時間とともに「やることリスト」に載せて、進捗管理をしていました。さらにリストは1日ごと、短期、長期などと時間スケールで分けます。しかし、これがなかなかうまくいかず、イライラしてしまうのです。仕事でのタスク管理はそれなりにできるのですが……。

 そこで今回、時間の使い方を反省し、どうすれば自由時間をうまく使えるか考えました。

決断疲れ

 決断疲れという言葉があるそうです。決断をするだけで疲労が蓄積するのだそうです。
決断疲れ - Wikipedia

 いつ何をするか決めるのってかなり辛いです。昼ご飯をとること一つとってもそうです。いつどこで何のメニューを食べるかを考えるだけでも疲れます。昼ご飯を抜くことはほぼありませんから、やるかやらないかで迷わないだけまだマシです。自由時間にやる趣味だと、いつやるかに加えて「やるかやらないか」自体を決めないといけません。正しい選択なんてありませんので、迷い出すとキリがありません。

 一方、仕事中は、やるべきだと客観的に判断したことを粛々とこなせばいいので、そういった決断疲れはあまりありません。

すべきことの選定とその優先順位付けの基準――仕事中と自由時間の違い 

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仕事と自由時間 すべきことの選定とその優先順位付けの基準

仕事中

 仕事では、すべきことの選定に迷うことはあまりありません。その主な基準が客観的な「意義」だからです。重要なことであれば、自分がやりたいかどうかにかかわらずそれはやるべきことです。複数のすべきことを限られた時間でどう取り組むかは、優先順位の付け方で決まりますが、これも意義の大きさに従います。

 主観的なやりたさ(より厳密に言えば「勢い」)が関わることもありますが、それが決め手になることはありません。それが決め手になるなら趣味です。衝動に任せて仕事をしていたら、「やりたくないが重要なこと」が後回しになってしまいます。そのため、行動に移る前にまずリスト化して計画を立てるのが大事です。

 自由時間

 一方、自由時間にやることというのは、仕事とは性質が違います。自由時間には、自分が「やりたい」と思うことをするものです。「やりたさ」のうち、理屈で説明できる部分が「意義」、理屈で説明できない部分が「勢い」です。

 例えば本屋で「これは重要な本だ。読みたいぞ」と思う本を見つけ、家に帰って読むとします。しかし帰宅後、読む気がなくなってきます。このとき、重要であるという評価(=意義)は変わらないのに、読みたいという気持ち(=勢い)がなくなっています(もっと時間が経てば、重要であるという評価さえも変わることがありますが)。このように、意義は長時間持続しますが、勢いはすぐに失われていきます。

 すぐに勢いが失われるのが、自由時間になにかをすることの難しさです。「やることリスト」に書いたことは、どれも意義だけしか残っていません。それをこなすのは、もはや仕事と変わりません。

 たとえ自分がやりたいと思ったことであっても、それが「過去の自分がやりたいと思ったこと」であれば、それを無理にやろうとするのは、他人から強制されるのと大差ありません。

  下記の『Fate/Zero 5』の台詞は、こういう状況によく当てはまります。自分の自由時間を過ごすだけのことが、こんなふうになってしまうなんて悲しいことです。

 人間そうなったらオシマイなんだよ。 “何をしたいか” を考えずに、 “何をすべきか” だけで動くようになったらね……そんなのはただの機械、ただの現象だ。ヒトの生き様とは程遠い (『Fate/Zero(5)闇の胎動 (星海社文庫)』p104のナタリアの台詞)

  ということで、自由時間には「勢い」をなるべく維持したまま何かに取り組むべきなのです。そのため、自由時間にいつ何をするか決めるには、「意義」と「勢い」のバランスを考えねばならず、難しいのです。

 やりたいことの取り組み方

 やりたいことの種類ごとのふさわしい取り組み方を示します。やりたいことを所要時間とやりたさの度合いで分けて考えます。

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やりたいことの分類と取り組み方

補足説明

予定表:カレンダーや手帳。ここに書き込んだことはやると決める。
やることリスト、備忘録:やることの候補を並べたもの。いつやるかは未定。

ぜひやりたいこと…必ずやると決める

すぐ終わるしすぐ取りかかれる

 やりたいという勢いは、なかなか長続きするものではありません。これを考慮に入れると、やりたいと思ったことは、その衝動に任せてなるべくすぐやるのが良いということになります。すぐ終わるしすぐ取りかかれることは、このやり方が一番です。予定表に載せて後日やろうとすると、その時にやる気が無くなっているのがオチです。また、「やることリスト」などというリストに載せてタイミングを見計らうのも同様、勢いが薄れていくことになります。リストに乗せると、今やらなくても後でできるという安心感によって、勢いが削がれます。いったん勢いがなくなったら、もはやその行為をやるのは自由時間にやるにはふさわしくありません。例えば動画サイトで何らかの動画をぜひ見たいと思ったら、すぐ見た方がよいのです。

 ここで大事なのは、「いま見ないのなら、もう見る日は訪れない」ことを覚悟すべきだということです。そうしないと、あとになって「あのときやればよかった」と後悔してしまうことになります。自分の中で、そこまでの価値がなかったと認定しておけば、そういう後悔は避けられます。

すぐ終わるがすぐには取りかかれない

 漫画を通販で注文し、今は届くのを待っている場合などはこのパターンです。この場合、必ずやると決めて行うべきです。予定表に載せるのもいいですが、むしろ届いた瞬間に読むと決意しておくのが良いでしょう。やることリストに入れると、後回しにしてしまう原因になります。

時間がかかる or 複合的

 長編小説の読破、小説の執筆、哲学の勉強などといった凝った趣味はこれに該当します。仕事でもそうですが、壮大なタスクは所要時間が読みづらく、なかなか手がつけづらいものです。こういうものは、慣れるまでは定期的に行い、慣れたら分割して小さなタスクにしたうえで計画的に(予定表に載せて)進めるのがうまいやり方です。最初の一歩は、衝動(勢い)に任せて行うと、取っ掛かりを作ることができてよいでしょう。

 例えばプルーストの『失われた時を求めて』を読むとします(私は読んだことがありませんが)。まずは本を買い、勢いで初めの方を読みます。それからは定期的に読み進めます。通勤電車の中で読めるならそこで読めばよいですし、毎朝読書の時間を設けて読んでもいいでしょう。慣れてきたら、「次の土曜日の午前中は読書」などと決めて行うこともできます。

 仕事におけるこのようなテクニックは、『残業ゼロの「1日1箱」仕事術』 で紹介されています。

できなくても構わない…できなくても諦める

 ここまで、「ぜひやりたいこと」を見てきました。でも、実際にはできなくても構わないことも多いものです。「やりたいといえばやりたいが、まあ暇ならやってもいいかなあ」という程度のことです。

 できなくても構わないことは、備忘録に載せておき、時間があるときに行うのが良いでしょう。思いついた勢いでやるのは、時間が限られている場合には時間の無駄遣いとなりかねません。備忘録に載せたことが実現するのはいつになるかわかりませんが、それは初めから承知の上なので残念がる必要はありません。

余談

 この記事、書いているうちに勢いが薄れていき、1ヶ月ほど放置してしまいました。その間、ちびちびと書き足していたらわけがわからなくなり、さらに勢いがなくなっていきました。今日、若干勢いが復活したので、なんとか書き上げました。それでも勢いが乏しいため、かなりしんどかったことを記しておきます。

 

2019/03/23 追記 何もしない自由

 自由時間の辛さの原因の一つとして、何もしなくていいという選択肢の存在があります。「わざわざこんなことをしなくてもやめればいい」という自由があると、常に迷いに囚われます。読書中しかり、TV鑑賞中しかり、外出中しかり。

 一方、仕事中は、何もしないという選択肢がありません。そのため、優先順位の迷いはあるとしても、迷いの強さは小さいのです。